偏差値の高い高校は“良い高校”?
家庭教師の仕事をしていると、生徒さんや親御さんから進路の相談を受けることもあります。
「できればレベル(偏差値)の高い高校へ行きたい」
まぁ、もし可能であればできるだけ上の高校に行きたい。
これは一般的な意見だと思います。
普通高校がいい、専門高校がいい、家から近い高校がいい……。
そういった希望はもちろんありますけど、そういう条件に合う高校が複数あったら、
ほぼ全員が自分の成績で入れる一番偏差値の高い高校を選ぶのではと。
理由は、偏差値の高い高校は“良い高校”だから。
でも、ちょっと待ってください。
有名私立高校が複数存在する大都市圏はともかく、一般的に地方に住む中学生と親御さんのほとんどは公立高校を希望します。
私立高校は滑り止めで、本命は公立高校。
これが一般的。
わたしも中学生を指導する際には、公立高校の入試問題を基準に指導内容を考えます。
で、ここでちょっと考えてもらいたいのが、偏差値の高い公立高校の先生は全員優秀か? ということ。
公立高校の先生って、全員地方公務員ですよね。
偏差値の高い高校では、指導実績のある優秀な予備校の先生を引き抜いて……なんてことは当然ありません。
公立校の先生には定期的に転勤もありますし、偏差値の高い高校から低い高校へ転勤することもあれば、その逆も然り。
一定の指導力はあるでしょうが、そこから先は運次第。
別に高い偏差値の高校に入ったからって、必ずしも優秀な先生に当たるとは限りません。
だったら、無理して進学校になんか行く必要はないのでは?
まぁ、そうなりますよね。
“がんばっている”は人それぞれ
でも、進学校には一つだけ良い点があります。
それは、努力の感覚を狂わせてくれるところ。
たとえば、ある中学時代の同級生同士の一幕で……。
中学の頃は勉強が苦手で、下位の普通高校に行った生徒さん。
久しぶりに中学時代の同級生と話す機会があって……。
「家での勉強? 全然してないよ。勉強なんて宿題くらいしかやってないし……」
中学の頃はすごく優秀だと思われていた同級生は、高校に入ってすっかり落ちこぼれてしまったそうで……。
高校に入って、真面目に勉強するようになった自分とは大違い。
「ふ〜ん、で、どのくらい勉強するの?」
「1日2時間くらいかな。このままじゃ、受験、やばいよね」
「に、2時間……?」
その言葉に、中学時代の同級生は愕然とします。
自分は高校に入ってからは毎日1時間は勉強している。
がんばっている。
そう思っていましたからから。
実際、クラスの誰よりも家での勉強時間は長いのです。
と、ここが進学校とあまり進学を意識しない普通高校の違いだと思います。
難しい教科書、大量の課題、何時間も勉強するのが当たり前の環境……。
授業の質云々はともかく、勉強しなければいけないという雰囲気だけはありますから。
学校の中では落ちこぼれだと思っていても、世の平均で考えれば遥かに優秀だったりするわけです。
終わりの見えない努力の果てに
さて、ではこうして過酷な環境を突破して一流大学と呼ばれるところに行った生徒さんはどうなるのでしょう?
大学にはもっと優秀な人間がごまんといて……。
その中でもがんばって、一流企業に就職を果たした先に待っていたのは……。
多くの人が成長する過程で所詮は自分なんて……と諦めて、その世界での“普通の人”になっていきます。
その世界はもしかしたら自分にあった居心地のいい世界なのかもしれません。
でも、もしその世界に違和感を感じるなら……。
「もっとがんばんなきゃ」って自分を責めるのではなく、
思い切って別のゲームを始めてみませんか?
今のあなたは、今いる世界のルールに騙されているだけかもしれませんよ。
▶ 前の話
どんな生徒がいい生徒?
▶ 次の話
うつろう時代

コメント