ある日の勉強風景
「やばい、もうすぐテストだし、しっかり覚えないと……」
そう言っておもむろに学校の教科書を開いた生徒さん。
教科書のテスト範囲を黙読しつつ、太字のところや大切そうなところに赤線を引いて、
次に赤線を引いたところをノートに書き写して、
その後は学校のワークを解いて、間違ったところは赤ペンで答えを書き写して……。
「うん、結構がんばった」
こうして無事今日の勉強を終えた生徒さんは、楽しみにしていた漫画の続きを読み始めるのでした。
……
さて、この勉強のどこがいけないのでしょう?
一言で言ってしまうと、全然覚える気がないところ。
えっ? ちゃんと勉強してたよね?
そう思われた方も多いと思いますが……。
ここで、少し昔話を。
わたしが中学生の頃の話です。
ある国語の授業で、先生が教科書の古文の暗誦を皆に指示しました。
「今から覚えて、覚えたら先生のところに来て暗誦すること。
できるまでやらせるぞ!
授業内で無理なら、あとで職員室に来てテストを受けること」
そのあとは、教室のあちこちから皆がぶつぶつと古典を読む声が聞こえ出し、
覚えた生徒は忘れる前に合格しようと、慌てて先生のところに向かいます。
先生の前には順番待ちの列ができていますが、無駄話をするような生徒は1人もいません。
列に並んでいる最中にも、目を瞑っては呟き、目を開けて手に持つ教科書を確認しを繰り返します。
「どう? 覚えられた? ここ難しいよね」
たまに、そんなふうに声をかけてくる友達がいれば、
「うるさい、話しかけないで!」
秒でシャットアウトされます。
だって、今話しかけられたら、せっかく覚えたことを忘れてしまいそうだから。
こうして、瞬く間にその日の授業時間は過ぎていってしまいました。
無意識にやっている効率的な暗記法
この2つの勉強風景を比べてみると、わたしが“本気で覚える気がない”と言った意味が伝わるでしょうか。
これは勉強に限らずですが、たとえば、その場ではメモが取れなくて、一時的に電話番号を覚えなければいけない時とか……。
自然に口が動きますし、頭の中で何度も確認作業をしますし、他の情報は極力入れないようにすると思います。
多分、本能レベルで自然にそうするのでは?
つまり、学校の勉強ができるできないに関係なく、人って効率的な暗記の仕方を初めからわかっているんだと思うんですよ。
で、本当に必要に迫られれば、自然にそういう行動を取るんだと思います。
認知心理学的には……。
覚えたことは、記憶を呼び出す確認作業をしないと定着しません。
後から入ってきた情報が先に覚えた記憶を忘れさせる記憶の干渉(逆行干渉)を防ぐためには、覚えた直後に別の情報はできるだけ入れない方がいい。
ただの黙読よりも少しでも口を動かす微音読の方が、少なくとも一時的な記憶には効果があります。
でも、そんな難しいことは知らなくても、日常生活の中でほとんどの人が無意識にやっていることだと思うんです。
私は本気で(学校の勉強を)覚えようとしているのか?
そう考えると、自分に合った効果的な勉強方法が見つかるかもしれませんよ。

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