中学校の理科で習う電磁誘導、誘導電流を、物語風に説明してみました。
……
これは、チュウガク公国の社交界でのご婦人方の内緒話。
「奥様、コイル夫人のお話、お聞きになりましたぁ?」
「あら、もしかして、また?」
「えぇ、なんでも、またマグネット伯爵に出ていかれたとか……」
「まったく、困った殿方だこと」
「マグネット伯爵が出ていく時には、コイル夫人のすがりようは凄まじかったそうよ」
「見ていたメイドによると、随分と情熱的に引き止められたとか……」
「えぇ、でも、結局は出ていかれた」
「では、コイル夫人の落ち込みようも相当では?」
「それなんですけど、伯爵家付きの庭師によると、随分とケロッとされているようで……」
「まぁ! もしかして、お芝居?」
「そういえば、マグネット伯爵が戦地から戻られた時には、コイル夫人は随分と喜んでいたのに、それほど間をおかずに、2人の仲はすっかり冷めてしまったって……」
「出会った時には、お互いに痺れるような愛の言葉の応酬だったそうだけど……」
「結局、あのお二人が求めているのは、新たな刺激なのよ」
「そうそう、出会った瞬間の喜び、離れていく瞬間の哀惜、そういった刺激を好まれるだけ」
「相手がそばにいようがいまいが、お二人にとってはどちらでも一緒」
「変化のない日常がお嫌いなのね」
「そういえば、お二人のような性質を巷では“電磁誘導”、そういう恋の刺激を“誘導電流”というそうよ」
「出たり入ったりする刺激がお好みなんて、随分とお下品ですこと」
「「「ホホホホホホホホ」」」
……
押せばツンデレなそぶりを見せて反発しつつも電流を流し、引けば行かないでと追いすがりつつまた電流を流す。
そのくせ、一旦その状況が落ち着いてしまえば知らんふり。
電磁誘導って、とても人間くさいと思いませんか?

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