それは、どこかの国にあるとあるお屋敷での勉強風景。
「過去に起こったことを覚えたって、なんの意味もない。
わたくしは未来を生きるのよ」
それは歴史の勉強中のこと。
勉強に耐えかねたお嬢様がブチ切れました。
しかし、家庭教師の先生は怯みません。
「そうですか、そうは言っても、今の我が国はお先真っ暗。
共和国との関係も聖王国との関係も、決していいとは言えませんよ」
笑顔で、そう返します。
「え〜と、ニュースでそんなことも言っていたわね。
そう、ならいっそう、聖王国に戦争でも仕掛けちゃうのはどうかしら?
聖王国をやっつけちゃえば、我が国の不況なんて簡単に吹き飛ばせますわよ?」
そんなお嬢様の大胆な意見に対して、バカを見るような目を向けてくる家庭教師の先生。
そして、それは授業を見守る周囲の侍女たちも同様で……。
「お嬢様、そんなの勝てるわけありませんよ」
「そうです。無理に決まってます」
揃って猛反対です。
「……そんなの、やってみなくちゃわからないのでは?」
そう反論するお嬢様に、周囲の者たちは言います。
「いいですか? 聖王国ってすご〜く大きいんです!
大体、我が国は聖王国と戦争やって大変な目に遭ってるんですから」
「聖王国と戦争をするなんて、絶対にダメです!」
取り付く島もありません。
それならとお嬢様は考えます。
そして、ついに名案が!
「なら、いっそう、他の国との貿易とか全てやめてしまうのはどうかしら?
国交を閉じてしまえば、他の国に影響される心配もないのでは?
外国語だって、もう勉強しなくて済みますわ!」
う〜ん、なんて斬新な考え! これはちょっといいかも……。
そんなふうに悦に浸るお嬢様に小さなため息をつくと、
「はぁ〜、いいからお嬢様はちゃんと歴史を勉強してください!」
家庭教師の先生は厳しく言い渡しました。
……
太平洋戦争で日本が負けたという事実も、アメリカの大きさも、もし日本中の人たちが今この瞬間忘れてしまったとしたら……。
アメリカと戦争すれば?
そんなことを言い出す人が出てきても、おかしくないと思いませんか?
人は自分の体験や知っている知識をベースに物事を判断します。
知らなければ、判断のしようがない。
あなたは、本当にお嬢様を笑えますか?

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